「西郷どん」無血開城の鉄舟

「西郷どん」は、江戸城無血開城。

西郷と天璋院が会った? ないない。
西郷と慶喜が会った? ないない。どこにも史料はございませんて(^^;
西郷どんアゲアゲについていけないまま、幕末ものなので、視聴は続けているところです。

ところで、2年前、静岡に行った時、
西郷✖山岡 会談の記念碑を探しました。画像

意外や意外、地元の人も知らない。
ぐるぐると歩き回って、やっと発見した時は
心底嬉しかった。

鉄舟は無血開城の突破口を開いた人。
というのが、現代の通説。
ところが、こんな話が伝わっています。

鉄舟の門人・小倉鉄樹(画家・小倉亀遊の夫)の
鉄舟の伝記「おれの師匠」によれば、

明治14年ごろ、維新の功績者に叙勲することになった時のこと。
当時は、三条実美や岩倉具視も、西郷会談を成功させたのは鉄舟の功績だと思っていました。
ところが、海舟が先に自分の功績だと、叙勲の申請書を出したので、
それを読んだ鉄舟は、内容が「こりゃ変だ」と思ったが、
海舟の顔をつぶすことは出来ぬ、と考え
自分の申請を引っ込めてしまいました。

それを知り、慌てたのが岩倉。
海舟は自分が全部やったと書いているし、
西郷会談を成功させたのは鉄舟と思っていた岩倉は、
「いったいどっちがほんとなのだ?」と鉄舟に問いただしました。
鉄舟が勝の面目の為に、手を引いたことを正直に答えると、
岩倉は功は譲るにしても君の功績は不朽に残すべきと説得し、
鉄舟は叙勲を受けることになりました。

しかし、その後またまた面倒な事が起こりました。
井上馨が叙勲の勲三等を届けた時、
鉄舟は突っ返しました。
返す返さぬの押し問答。

「お前さんが勲一等で、おれに勲三等を持って来るのは少し間違ってるじゃないか。
おれから見れば、お前さんなんかふんどしかつぎじゃねえか。
維新の大業はおれと西郷の二人でやったのだ」
と、啖呵をきる。
このやり取りを押し入れの中で聞いていた門人の小倉は痛快だったと書いています。

井上は言い返せずに勲章を持ち帰るはめになりました。
公正な叙勲にしないと、国家の和平が保たれない、というのが鉄舟の考えです。
その後、三条実美や岩倉がしきりに鉄舟をなだめたという事です。
叙勲はどうなったかは書いてないけど、たぶん受けたでしょうね。

このエピソードのポイントは、西郷と自分とで無血開城を成したというのが、
鉄舟の認識だということです。

門人の小倉は、海舟に対して手厳しい。
「なにせ勝は口も八丁手も八丁という才物だから、いい加減に人を煙に巻いてしまって、
山岡の手柄も自分のしたように真実らしく吹聴したから、
聞くものは誰でも勝を偉いものにしてしまったのだ。
そんなことで、小学校の読本にさえ勝が西郷と談判してあの難事を片付けたように
書かれてしまったのだ」
「どうも勝は才略あって偉い男であったには相違ないが、
そういうずるい点が人格を劣等なものにしてしまう。返す返すも惜しいことだ・・・」

現代は俯瞰的視野を持った海舟の功績がもっぱらだけれど、
覆すような鉄舟の史料が出たら、
無血開城の主役は転換されるかも。

鉄舟の人間性は、西郷隆盛をして
「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、
そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない」
と言わしめた
。また「腑抜けたところがある」とも。
「腑抜け」ってなんでしょうね?力み感じさせない雰囲気があったのか。
お金は困っている人がいるとすぐに与えてしまい、自分は生涯貧乏だった。

数々の破天荒エピソードも含め、私は鉄舟と言う人物は負けず嫌いで、
まっすぐで、筋を通す、武士らしい武士だと思っていて、好きです。
興味が尽きない人です。

ドラマでは西郷どんとどんな絡みがあるのか、
魅力的な人でいて欲しいな。

この記事へのコメント

  • ローズ

    ふーむふむふむ、なるほど、そーだったんだー!と読みました。
    鉄舟&静岡と言えば私は先に次郎長が頭に浮かぶ。

    いつか、日本史の授業も変わるかも?
    無血開城は西郷と山岡ってー!

    アゲアゲ、
    うんうん、そーですよね、
    他の人がみんな脇役になってしまってる、西郷1人が、それと西郷家が主役ー。
    それには違和感がありましたけど、
    でも毎週何と無く観てましたよねー。
    ぼわーっと観てた週もあったなー。

    さて、大河も終盤、
    まさかの浜ちゃんが!息子役ってー。
    まぁ何処かで出るとは思ってたけどね。適役かもですねー。(笑)
    2018年10月16日 22:10
  • 楽美

    ローズさん>
    大河では西郷どんの家がぼろいですが、鉄舟の貧乏話も残されていて、清川八郎と付き合ってた頃は、下駄もなく、奥さんの着物もなく、来客があっても、奥さんは衝立から顔だけ出して応対したとかで、朝ドラの材料になりそうなエピソードがいっぱいです。

    大河では、弟が戦死のファミリーストーリーは混ぜ込んで、庄内藩や会津はスルー。戦嫌いなら東北の犠牲のこともやって欲しかったな。

    浜ちゃん?!!ダウンタウンのほうじゃなくて、釣りのほうね。「翔ぶが如く」「八重の桜」では西郷頼母だし、西田さんは西郷続きです。菊次郎は偉くなるんだねー。
    2018年10月17日 18:16
  • nobulog

    お久しぶりです、楽美さん。
    今回の記事、興味深く読みました。
    山岡鉄舟のことはあまり知らず、ある意味「影に隠れてしまっている人」という認識だったので、面白かったです。

    若いときは討幕派志士とか佐幕派新撰組とか、維新の英雄とかいろいろ読んで「わかったような」気がしていたけれど、最近は「みんなちょっとずつ名誉欲とか金銭欲、権利欲とかで動いていたんじゃないの?」って思うようになりました。

    そう思って会社を見ていると、良く似たような人がたくさんいます。
    勝海舟のように要領よく立ち振る舞って出世する奴とか、自分の正義という名で、人を出し抜く人。そして、自分の矜持を大切にして、人から利用ばっかりされる人。

    歴史って、俯瞰的視線も面白いけれど、人の欲も併せてみると、とっても人間くさいものなんだなぁと、身近に感じることができます。
    長文にて、失礼しました。
    2018年10月22日 11:07
  • 楽美

    nobulogさん>
    人の泥臭い側面、面白いです。困ったさんに振り回されるのはイヤですけどね(^^;
    歌舞伎の演目にも欲がらみの人間がいっぱい登場するし、今も昔も一緒だなぁと思います。
    新選組の通史を見ていると、組織内の力関係などは、現代の社会と被り、身近に思わされるのも、惹かれるところです。一方で正道を通したり、責任を取るのに命を懸けていたのは現代では想像ができにくく、そういう士道が生きていた時代にはロマンを感じるんですよねぇ。

    どうも鉄舟は利用されることばっかりの人だったようです。人に求められるままに病床でもずっと書を書き続け、恬淡として愚痴ひとつ言わない。慕う人は多く、殉死者も出たほどです。座しての臨終の姿もいいなぁ。あの毒舌海舟も鉄舟の批判はしていません。後ろめたくてできなかったのかも、なぁんて(^^;
    2018年10月23日 20:07

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